日本を代表する歴史都市京都、その象徴ともいえる京都御苑の中に平成17年4月、東京赤坂に次ぐ二つ目の国の迎賓施設、京都迎賓館が完成しました。
場所は京都御苑内の饗宴場のあったところで、周囲の環境や苑内の動植物の調査、埋蔵文化財の調査などを慎重に行い、敷地の樹木もそのままに建設されました。
京都御所に隣接する為、御所より低い平屋建てとし、周囲との調和を考え穏やかな勾配の「むくり屋根」を採用しています。
京都迎賓館は伝統に根ざしながらも現代的な感性と、最新の技術で作り上げられた現代和風建築です。
京都迎賓館の建設には、数奇屋大工、左官、建具、載金等の伝統技術と、調度品には蒔絵・螺鈿、西陣織などの技能が活かされています。
茶室建築における「大工(数奇屋)」の伝統的な技術がこの迎賓館の随所に生かされ、「左官」仕事においては、聚楽の壁が使われており、周囲の築地塀にも聚楽土が使われています。
和風建築には欠かせない「建具」の障子や板戸なども取り入れられていて、その障子や襖、そして壁に和紙などを貼る「表具」の技術がふんだんに活用されています。
襖の引き手や天井を飾る「錺(かざり)金物」にも伝統技能の粋が尽くされており、「截金(きりかね)」金箔やプラチナ箔を重ねたものを貼り付け、文様を浮かび上がらせる技能も 取り入れられています。
「畳」は迎賓館のために栽培したイグサを中継表(なかつぎおもて)の技法で作成され、年月が経るほどにその特性が生きる「漆」の塗装技術が床框(とこがまち)、欄間(らんま)などに施されています。
地形、樹木、影石、石組みを考えた新しい和風庭園が「作庭」の技術で実現し、「石造工芸」技術による灯篭、手水鉢、沓脱ぎ石などの風情が随所に生きており、庭園に繊細な表情を与える「竹垣」の技が見られます。
研ぎ澄まされた美意識で作り上げられた京都迎賓館には、和の空間に生きる現代の匠の技が活かされています。
住所
京都市上京区京都御苑内23
電話番号
075-223-2205