節電の夏
2011年6月21日
未だに信じられない大地震の残した傷跡は覚めやらず、今年の夏はエコを考える夏。
世の中が、町家の中の生活に戻っていくのかな? 先人の知恵がいっぱい詰まった町家暮らし。そこには、電気やガスが無かった時代が見える。6月1日は、汗だくで蔵から出してくる夏のしつらえ。「建具替え」を行うのだ。雪見障子は、はずされ、よしず障子(葦で編んだ透けた障子)。畳の上には、ひんやりとしたあじろを引きつめる。襖をはずして庭が見える簾を掛けていく。クーラーの効いた部屋ではないが、人とは不思議なもので、涼しそうな様子は、頭で涼しく感じさせてくれる。
「五感でものを感じる」ということです。そよそよと町家をとおりぬける風がもたらす涼。その風が風鈴を鳴らし、青葉の触れ合う木々の音を奏でる。 門(かど)の打ち水が風を誘い、庭から庭に、途中にはつくばいの水が又、風を呼ぶ。 足早にうなぎの寝床を駆け抜ける風にいろいろな役目がある。 つくばいにに落ちる水の音や草木の匂い、簾から透けて見える庭やあじろのひんやりとした感触、皮膚をなでる風も五感の1種ですね。
格子戸は、外から見たら見えないが、内からはしっかり外を観察できるし、空けると又涼める。
夜は、まぶしい明かりは似合わない。昔のように質素にエコを楽しんで暮せます。 灯篭にろうそくを・・・薄明かりの室内からろうそくのゆれる炎を見つめながら、静けさに涼を感じる。 開けっ放して、萱(かや)をつって風流を感じて眠りに付いたらどんなにいいだろう。