不断桜
2010年6月10日
「不断桜」は、摩訶不思議な桜である。一年中咲く桜なのである。1年中枝のどこかに花を本当につけている。文政年間時代にもすでに珍しい名木として書物に紹介されている。 この桜は国の天然記念物。冬でも、いつでも葉が美しく、そしてよく見ると一花、桜が咲いていたりする。
伊勢型紙の模様はこの不断桜の虫食いの葉を見て思いついたらしい。伊勢型紙は室町時代からの伝統工芸用具、極限の技が生み出す、1点1線神業とも言うべき職人技で「不断桜」を染め上げていた。
浮き上がってくる常盤染の「不断桜」を眺めながら、パッと咲いて散るより、この花のように、控えめでいいから、いつもどこかで咲いているようなこつこつと、凛とした女性でありたいものです。そんなことを考えながら、今日も着物に触れていました。